日本の賭博を禁止する法律について
日本には、賭博行為を禁止する刑法があります。
- 「第百八十五条 賭博したものは、五十万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。」 (常習賭博及び賭博場開帳図利)
- 第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
- 2 賭博所を開帳し、または博徒を結合して利益を図った者は、三月以下五年以下の懲役に処する。
- 第百八十七条 富くじを発売した者は、二年以下の懲役または、百五十万円以下の罰金に処する。
- 2 富くじの取り次ぎをした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
- 3 前二項に規定するもののほか、富くじを授受した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。
日本では、2016年12月15日に『カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案』いわゆるカジノ法案が成立したわけですが、必然的に、賭博行為を禁止する法律の改正も行われる。
現状では、上記の第百八十五条~第百八十七条の規定は、胴元とプレイヤーを同時に立件するものとなっています。
オンラインカジノでは、胴元が海外で運営許可(ライセンスを取得)を得て合法的に運営していれば、明らかに日本の法律では取り締まることができないことになります。
しかし、2016年3月10日に、京都府警が国内初のオンラインカジノプレイヤー3名を賭博行為の疑いで逮捕されたと報道がありました。
次のその詳細を取り上げてみました。
京都府警によるネットカジノ客3人を逮捕
産経WEST2016年3月10日記事抜粋
『ネットカジノ客の男3人を逮捕 海外の会員制サイト「スマートライブカジノ」利用 京都府警』
海外のインターネットのカジノサイトで賭博をしたとして、京都府警は10日、賭博(単純賭博)の疑いで埼玉県越谷市の制御回路製作会社経営、関根健司(65)▽大阪府吹田市の無職、西田一秋(36)▽埼玉県東松山市のグラフィックデザイナー、中島悠貴(31)-の3容疑者を逮捕した。府警によると、無店舗型のオンラインカジノの個人利用客が逮捕されるのは全国初とみられる。
逮捕容疑は2月18~26日、会員制カジノサイトに接続、カードゲームで現金計約22万円を賭けたとしている。
3人は容疑を認め、「海外サイトなら大丈夫だと思った」と話している。
利用された「スマートライブカジノ」は、英国に拠点を置く登録制のオンラインカジノ。
日本語版サイトが平成26年9月ごろに開設されたとみられる。
クレジットカードや電子マネーを使って賭けや払い戻しができる仕組み。
日本人女性がディーラーを務め、日本語でチャットをしながらブラックジャックやルーレットなどのゲームができる。
府警によると、関根容疑者は「1千万円ぐらい使った」と供述。ブラックジャックの利用客だけで月に少なくとも約1400万円の賭け金が動いていたとみられ、府警は運営実態や資金の流れを調べる。
海外のカジノサイトを利用した賭博をめぐっては、千葉県警が2月、客に賭博をさせたとして、サイトの決済代行会社役員の男ら2人を常習賭博容疑で初摘発している。
この逮捕によって、多くのオンラインカジノ関係者やプレイヤーに激震が走ったことは言うまでもありません。
また、この件に関して、賭博行為を禁止した法律を熟知する方々をはじめ国際オンラインゲーミング業界から、京都府警の摘発は不当であると主張!
ところが、この不当摘発に朗報が入りました!!
国内初のオンラインカジノプレイヤーの賭博行為の摘発は不起訴となった!
国内初のオンラインカジノプレイヤー3名が京都府警により賭博罪の容疑で逮捕後、3名のうち2名は、公判で争うことなく略式起訴による罰金刑をそのまま受け入れ、もう1名は、摘発されたこと自体が法律に則ていない不当なものと主張し、裁判で争うことを選択。
この前例のない裁判の弁護を担当した弁護士のブログに不起訴確定を勝ち取った経緯が「不起訴の勝ち取りーオンラインカジノプレイヤーの件」と題して掲載されています。
京都府警の不当摘発について、賭博罪改正を願う弁護士津田岳宏氏のブログで指摘していますが、日本の賭博を禁止する法律、第百八十五条~第百八十七条の規定は、胴元とプレイヤーを同時に立件するものとしています。
海外でライセンスを取得して合法的に運営されている胴元のオンラインカジノ側を処罰するところを当事者のプレイヤーを処罰しようとした点。
つまり、賭博行為についての刑事責任を負うものは、胴元(オンランカジノ側)であり、賭博者(プレイヤー側)の負う責任は、付随的なものであるということです。
今回の国内初のオンラインカジノプレイヤー3名の逮捕は、明らかに胴元のオンラインカジノ運営者を賭博罪で有罪にできないと分かりつつ、プレイヤー側のみを処罰しようとした不当なのものとして不起訴となったわけです。
このような不当な摘発が最初で最後であることを強く望みます。